アルペンスキー撮影記

毎冬、ヨーロッパアルプスを中心に行われるアルペンスキーワールドカップの魅力を紹介していきます

平昌オリンピック派遣推薦基準

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 しばらくのご無沙汰でした。

 今夏の甲子園での撮影も終わりました。今年も多くのドラマとスター選手の誕生に沸いた15日間。たくさんのパワーを若者にもらいました。

 さて、月もかわって、いよいよ来月末には2017-18シーズンのワールドカップ開幕戦が迫ってきました。

 多くの選手が南半球や欧州の氷河でトレーニングを積み、今シーズンの飛躍を期しているこの時期、怪我なく無事に開幕を迎えられることを祈りたいと思います。

 先月半ばに左足首を骨折したマルセル・ヒルシャーも、ギブスをしたまま器具トレーニングをこなしている写真を自身のSNSにアップしています。総合6連覇の絶対的王者の早期復帰を望みたいですね。

 

さて先日、全日本スキー連盟のHPに平昌オリンピック派遣推薦基準の「2017年8月28日SAJ理事会承認」版がアップされました。

  2016/2017シーズン及び2017/2018シーズンにおける世界レベルの評価対象競技会にて、下記のいずれかの成績を収めた選手。ただし、成績は当該種目のみの基準とする。   

(1)8位以内の成績を1回以上   

(2)20位以内の成績を2回以上(2シーズン合計)

 という基準は昨年と変わりませんが、【全日本選手権に関する附則】という項目が追加され、

第96回全日本スキー選手権大会アルペン競技を第23回オリンピック冬季競技大会の選手選考大会とし、各種目の優勝者の派遣をJOCへ推薦する。

 2017年12月26日(火) 男子大回転1名      

2017年12月27日(水) 女子大回転1名      

2017年12月28日(木) 男女回転 各1名 

 ※同着優勝の場合は、その時点での“オリンピックFISポイントリスト”の上位選手を優先する。

 対象選手)平成29年8月8日時点でオリンピック・クオリフィケーションに基づくオリンピッククオータ配分リスト“オリンピックFISポイントリスト”で500位以内かつ140ポイント以下の選手。

    補足)・出場種目は大回転並びに回転種目とし、優勝した当該種目のみオリンピックへの出場を認める。       

・優勝者が諸事情で出場を辞退又は出場資格がない場合でも繰り上げ選考及び選手交代は行わない。       

・ワールドカップにおいて既存の基準をクリアする選手が出た場合には、その選手を優先し、複数名いる場合で出場枠を超過した場合は、平成30年1月22日時点の該当種目のワールドカップポイントの上位者とする。

となりました。

 

時事通信も下記のように報じています。

五輪代表、一部は今秋決定へ=アルペン女子は3大会ぶり派遣―スキー連盟

 8/28(月) 21:46配信

  全日本スキー連盟(SAJ)は28日、東京都内で理事会を開き、来年2月の平昌五輪の代表選考について、連盟が定めた派遣推薦基準の成績を満たした一部選手についてはシーズン本格化前の今秋にも代表に選ぶ方針を決めた。通常は年明けの1月に発表されていた。SAJの皆川賢太郎競技本部長は理事会後、「(有力選手には早めに)保証を与え、きっちり準備を行っていただきたい」と述べた。早ければ10月末か11月上旬に一部代表が発表される。

  理事会ではまた、平昌五輪アルペン男女の技術系種目(大回転、回転)に関し、入賞を狙える水準としてSAJが定める派遣推薦基準を満たす選手がいなかった場合でも、国に割り当てられる出場枠(1)を使って派遣することを決めた。近年低迷し、2006年トリノ五輪を最後に出場者がいなかった日本女子は3大会ぶりの派遣となる。基準を満たす選手がいない種目は、全日本選手権(12月、北海道阿寒町)の優勝者が代表に選ばれる。 

 サンケイスポーツでも

 平昌五輪代表、早ければ11月決定も ジャンプ沙羅、伊藤らが該当する可能性

2017.8.28 21:25

  全日本スキー連盟は28日、東京都内で理事会を開き、来年2月の平昌冬季五輪代表選考に関して、日本の出場枠確定などを確認した上で、派遣推薦基準を満たした有力選手について、早ければワールドカップ(W杯)が本格的に始まる11月上旬をめどに代表に決定することを承認した。

 ノルディックスキージャンプ女子の高梨沙羅クラレ)や伊藤有希土屋ホーム)らが該当する可能性がある。皆川賢太郎競技本部長は「(五輪出場の)保証を与えて、きちっと準備してもらいたい」と説明した。

 また、アルペン男女の回転と大回転は12月の全日本選手権優勝者にも平昌五輪出場権を与える。距離ではリレーだけの基準を新たに設ける。

 と報じられました。

 つまり、8位以内1回、20位以内2回の成績をワールドカップでおさめずとも、12月末の阿寒湖温泉での全日本選手権で優勝すれば平昌オリンピックに出場できるというものです。

 皆川賢太郎競技本部長の改革手腕が発揮され、2大会連続で出場を逃していた女子にオリンピック出場の「確約」が与えられました。

 長谷川絵美選手は私の問いに「年内に(オリンピック出場基準を)クオリファイする事が目標の一つ」と返事をくれました。

 10月の開幕戦セルデンGSと11月レビSL、11月末のアメリカ・キリントンGS・SL、12月19日のクーシュベルGSまでの、GS3戦、SL2戦で20位以内2回を確保することを第一目標に、そして12月28,29日のリエンツGS・SLをスキップして全日本選手権に出場するという選択肢も視野に入れていることでしょう。

 もし、長谷川絵美が全日本選手権に出場しオリンピック出場権を争うとなれば、GSはオリンピックFISポイントリストの「対象選手」31人の争いとなり、昨年までの成績から考えると安藤麻選手との一騎打ちの様相です。

 SLはオリンピックFISポイントリストの「対象選手」36人の争いで長谷川、安藤に加え、清澤恵美子も優勝争いに絡んでくると予想します。もちろん、石川晴菜や荒井美桜も両種目でその争いに食い込んで来てくれることを期待したいところです。

 一方、男子は前回7月のブログでも前述したように、湯浅直樹のSL出場が当確。時事通信サンケイスポーツ記事中にあるように、来月か11月にもオリンピック代表として発表されるでしょう。

 それに加えて、全日本選手権のSL勝者がオリンピックに出場することになります。「対象選手」は湯浅を除くと31人。

 大越龍之介、河野恭介、石井智也、成田秀将とポイントリストの上位に並びますが、若手の加藤聖五、松本逹希、小山陽平にも大いに期待したいところです。

 男子GSの対象選手は22人。リスト上位からいえば、加藤聖五、小山陽平、成田秀将、大越龍之介の争いになると予想します。

 もちろん、全日本選手権前までのワールドカップで20位以内2回を確保すれば、優先的にオリンピック出場権を得られますが、昨年までの成績を見る限り、湯浅以外にその順位を2回も望める選手は残念ながら出てくることはないでしょう。

 ちなみに12月末までに男子SLはレビ、バルディゼール、マドンナ・ディ・カンピリオの3戦、GSはセルデン、ビーバークリーク、バルディゼール、アルタバディアの4戦が予定されています。

 前回のブログで書いた私の希望は一部、実現することになりました。技術系種目は日本で一番速い選手が最低でも一人、お隣の国、韓国のオリンピックのコースに立つことになります。

 皆川賢太郎競技本部長の「改革」には今後も大いに期待し、応援していきたいと思います。

 もし男女ともナショナルチーム以外の選手がオリンピック出場権を得た場合は、年明けのワールドカップは国枠を使ってその選手を優先的に出場させて経験を積ませて欲しいですし、私の欲張りなお願いとしては、高速系にも目を向けていただき、滑降、スーパーG、ACでも同様の措置が近い将来に実現することを願いたいところです。

 もし技術系と同じく「対象選手」を挙げるならば、アルペンコンバインド(AC)は須貝龍、成田秀将、須貝完、加藤聖五の4人、スーパーGは須貝龍、須貝完、加藤聖五の3人、滑降は須貝龍、須貝完の2人です。

 ちなみに高速系のワールドカップは選考期限である1月中旬、おそらくウェンゲンまでとすれば、DHはレイクルイーズ、ビーバークリーク、バルガルディナ、ボルミオ、ウェンゲンの5戦、SGはレイクルイーズ、ビーバークリーク、バルガルディナの3戦、ACはボルミオ、ウェンゲンの2戦が予定されています。

 今季も積極的に高速系種目に参戦する予定の須貝龍選手にも皆様の応援、よろしくお願いします。

  また競技本部長の「改革」の中で注目すべきは、全日本選手権の重要性、「注目性」の強化です。

12月末の全日本選手権は今年に限らず、今後、この時期に毎年開催され、おそらく来年はオーレ世界選手権の出場権や年明けワールドカップの出場権が優勝者に与えられるのではないでしょうか。

 日本チャンピオンに世界への挑戦権を、チャンスを与え続けること、そして全日本選手権そのものの大会としての「格上げ」化の取り組み。

 「机上の空論」や「机上の願望」ではなく、迅速に「実行」し、そして「実現」したことは大いに評価されるべきでしょう。

 今後もさらなる改革に期待します。

 

冒頭の写真は2006年イタリア・トリノオリンピック、SL4位の皆川賢太郎全日本スキー連盟競技本部長